[コメント] アメリ(2001/仏)
ジュネの目
みんなは考えたことはないだろうか
「本当に自分の目は皆と同じ風景が映し出されているのだろうか?」
目の医学的な解説は省かせていただくが(というかわからないが)、この3次元の空間の中に存在する我々は、皆共有した世界の中をしっかりと共有して意識しているらしい。たとえ年齢や性別や人種が違っても見えるものは同じらしい。
だが感じるものは人それぞれ異なるらしい。
ジャン・ピエール・ジュネの空想でつくられたアメリがいる世界は我々が今住んでいる世界とはまったく異なる異質の世界である。それは物理的なモノの違いではなくて、「色」の違いである。
驚くほどカラフルに彩られたアメリの世界。まるでヴィンセント・ファン・ゴッホの世界を歩いているかのような錯覚に陥るほど色覚的に興味をそそられた世界であった。良い意味でリアリティーの欠如した世界が、まるでリアリティーそのものの恋愛模様を奏でるさまは見ていてとても気持ちの良いものであったし、今考えるとあの浮世離れしたアメリがたとえばロバート・アルトマンによって描かれるならば見るも無残なことにもなりかねない(男で演じるならばブシェミか)。
空想によってつくられた世界だからこそ実現したあの色彩と、現実味のない世界。そしてアメリ、これらはすべて「浮世離れ」という言葉で繋がっている有機体(こう呼ばせて下さい)であり、自分の頭の中で思いついたものがすべてモノクロであることにある種の失望を覚えさせてくれる映画です。
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