[コメント] アウトレイジ(2010/日)
北野武にとって、登場人物のほとんどをヤクザにしたことは、果たして冒険だったのだろうか。枯れた諦念からだったのだろうか。この映画を支配しているのは、単なるテクニックのようにもみえるし、死というテーマと戯れる気力さえ失った「疲れ」のようにもみえる。
暴力総決算。
溢れまくるアイデアをここぞとばかり消化していく。
かつてはその乾いた暴力に叙情と笑いを浮かび上がらせたものだが。
駄目なヤクザが勢ぞろいで、いまさら任侠のアンチテーゼ?
それなのになぜこの北野映画を許せるんだろう。
いや許せるどころか「お帰りなさい」とさえ言ってしまいたくなるのだろう。
それはきっと、嬉々として暴力シーンを演出する北野武という核が、エンジンが、感じられたからだろうか。
あらゆるかっこつけのシネフィルたちが武を持て囃した喧噪からようやく解放されたかのような、
「無邪気さ」がたまらなく嬉しい。
オイラ疲れちゃったよ的な原点回帰が、嬉しい。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (4 人) | [*] [*] [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。