コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 恋のエチュード(1971/仏)

良質の男根主義的な恋愛映画。ヒロインが複数いるあたりはギャルゲー的(やったことないけど)とでも言いかえればいいのだろうか。
Kavalier

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







社会・身体的弱者・トラウマを抱えた女性が、男性優位的な恋愛を通過することで、自立を獲得する。自立を獲得した女性と恋愛(婚姻)が成立してしまうと男は優位的なポジションを保てなくなるので、この手の作品では、通常は男性は死ぬか、或いは身を引いて郷愁に耽るかのどちらかのエンディングを迎えることが多いが、この作品では後者。

それはそれで、ヒロインの一人である妹がそのトラウマを手紙で告白するシーンは、カメラ目線で、背景に列車をフラッシュバックさせたりして少し笑ってしまった。いかに自己開示が、この作品の世界観にとって重要なことか象徴している。

距離や時間(の省略)の描き方が、手紙や列車といった映画的な道具、そしてナレーションを使用して、非常に上手く描かれている。ドーバーを挟んだ距離感も、長い年月の経過も感じさせてくれる。

屋外においてのネストール・アルメンドロスの撮影は本当にすごい。逆に、後年のアイヴォリーの映画等に見慣れてしまった為か、屋内シーンはセット等19世紀の再現としての美術面が未成熟に感じ、良くも悪くもコスチュームプレイ的。まあ、それらが、作家のパーソナルなテーマの表現を結果的であれ、忠実に具現化されてると思うが・・・。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。