[コメント] 君の名は。(2016/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
これは、運命の作られ方。を見せてくれる映画である。 人間球体説の映画化。と言ってもいい。
古代ギリシャの哲学者プラトンによれば、人間(男女)はもともと1つの球体だった。 神ゼウスはあまりの仲の良さに、球体を半分に割ってしまった。
「片割れ(かたわれ)」となった男と女は、 お互いにもう1つの「片割れ」を求めて探すようになった。
これがプラトンの運命論「人間球体説」である。
つまり、求め合い一緒になる男女とは、偶然に出会って好きになるのではなく、 もともと同じ球体だった相手ということだ。
その二人が求め合い出会った瞬間。それを運命的出会い。と呼ぶ。
そして尋ねる。「君の名は?」
神がどのように「運命」をお作りになるのか、 そのドキュメンタリー映画が「君の名は」である。
三葉が神事の後、参道の階段で 「古臭いこの町から解き放たれて、都会のイケメンとして暮らしたい!」 と叫ぶ。
「神」はこれを聞き入れた。
「瀧くん」という存在は、神が選んでくれた「都会のイケメン」。 運命の人との愛のチカラが、町を救う原動力となった。
髪(神)を結んでいる時には幸せに過ごせたが、
髪(神)を解いている時には不幸が訪れた。
三葉が瀧くんの前で髪(神)を解き、組紐を渡す。
髪(神)を切り、結びを解いた三葉は浴衣姿で惨劇を迎える。
「片割れ(かたわれ)時」、二人は冥界を超え、組紐が三葉に戻る。
再び、髪(神)は結ばれ、町民を救い、自身も生き延びることができた。
「むす」(び・ぶ)とは、大和(やまと)言葉で、
神聖な生を表現し、生とは神との契りでもある。
日本の神聖な儀式では「結ぶ」ことが多い。
結(むす)ばれた男女が生みだす新しい命。 その命をむす(こ)、むす(め)と呼ぶ。
(追記)
この映画には「片割れ(半球)」がたくさん出てくる。
・瀧君が高山ラーメンを食べている時に来ているTシャツには HALF MOONという月の半球が描かれている。よく見ると、瀧君のパーカーの肩口にも・・・。
・三葉はハリネズミが大好きだ。 LINEのプロフ画像も、筆箱にも、スマホのカバーにも、刺繍もハリネズミ柄だった。
そう。ハリネズミは半球。自分でくるっと球になる。
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