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[コメント] 2001年宇宙の旅(1968/米=英)

この映画の原作はケネディ暗殺がきっかけだったのでは?(追記)人間はなぜ考える動物となったのだろう。それは人間が宇宙に旅出るため。
ALOHA

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







この映画には様々なテーマが盛り込まれています。

先日、フランスのドキュメンタリ「CIAの真実」を見て思ったのです。この映画のテーマの1つは、「ケネディ暗殺」がきっかけで生まれたのではないかと。

この映画は、ケネディ暗殺の翌年(と言っても数ヵ月後)、キューブリックがクラークに手紙で映画の企画を提案したことからはじまり、暗殺後5年を経て公開されました。

その1つのテーマとは「自分で作ったものに殺される。」

米国が生み出したCIA。 人間が生み出したコンピュータ。 そして、 神が生み出した人間。

自ら作ったものでも、うまくコントロールしていないと、次第に手を離れコントロール不能になっていく・・・。気づいた時には時遅く、想定以上の力で反撃されてしまう。 大統領はCIAに暗殺され、人間はコンピュータに殺される?それは淘汰の戦いだったか。そして、 神は最後まで、神であった。

(追記)

人間は考える動物。なんて偉そうに言う。本当に偉いのだろうか? なぜ、人間は考えるようになったのだろう。 なぜ、人間の脳は他の動物よりも発達したのだろう。

軽井沢の朝は涼しくて、しばらく考えてみた。

そこで至った答えは少し複雑な思いだ。 まだまだ熟考が必要かも知れない。 その答えとは、

”人間には、人間同士で戦い、殺し合う習性があるから。”

だからこそ、死なないために、勝つために『考える』必要がある。 淘汰されないためには、考える必要があった。 考える事ができる人間が優性(種として強い)となり、脳が発達した。

殺し合う動物は他に無い。 昆虫などの共食いは、殺しているのではない。栄養源として食べているし、種の保存のために食べさせているのだ。 肉食動物でも殺し合うときがある。と知った顔で言う人がいるらしいが、それは縄張り争いとか、メスの取り合いなどの種の保存のための戦いで、たまたま相手が死んでしまったケース。殺そうとしたのではない。追い払いたいだけだ。 もし、その動物に殺し合う習性があるのなら、その動物はとっくに絶滅している。 人間は、法律で殺してはいけないとわざわざ規定し、殺人を抑止する仕組み、殺人を犯した人間を捕まえる仕組みを作った。そして罰則によって殺人を少しでも減らそうと努力しなければならない。そんな動物なのだ。本質的に異なる。

シリアの問題もやるせない。 化学兵器が使われ何人もの犠牲者が出たというが、その亡くなられた方々が、政府側なのか反政府側なのか。の報道は無い。そこ、大事なところだろう。それだけ現地は複雑な状況なのだ。

なんでも多数決で決めるようになって来た近代。ロシアとしては仲の良いシリアを壊したくない。シリア政府軍の化学兵器を含めた軍事物資は、ロシアが供給したものだ。

自国の国益のために、殺人を商売とし、殺人を奨励する。 シリアでの死者は10万人を超え、国連ではこれ以上の死者数の推計は不可能としている。

なぜ、神は人間に殺し合う習性を組み込まれたのだろう。

そこで、気がついた。 もしかしたらスタンリー・キューブリックはその答えを映画『2001年宇宙の旅』で示したのではないか? その答えとは「人間よ宇宙へ旅出よ」

この映画の冒頭シーンは原始時代。そのシーンは、猿が骨を武器にすることができる事に気付き、喜んで骨を空高く放り投げた瞬間に終わる。 次のシーンで、骨は木星に向う宇宙船に変わる。この宇宙船が木星に向う事になったのは、人間が月に到着し、その内部に「モノリス」を見つけたからだ。

猿のシーンでも、月のシーンでも登場するのは、モノリスと呼ばれる謎の黒い石板。 モノリスは、神だろう。 神に選ばれ、見守られ、人間は宇宙に旅立つ。 種の保存のためには、いつか寿命がくる「地球」から旅立つ技術がどうしても必要なのだ。

人間を地球から宇宙に旅立たせるためには、脳を発達させる必要があり、脳を発達させるためには。。。

人間の英知は、神の組み込まれた習性を乗り越え、平和を勝ち取る事ができるだろうか。

(評価:★5)

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