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[コメント] 硫黄島からの手紙(2006/米)

渡辺謙二宮和也伊原剛志もその他日本人役者は素晴らしい☆
草月

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ラフデッサンのようなざっくりした映画だった。低予算低時間低手間? もっとお涙頂戴のドラマを期待していたやわな人間には肩透かしかもしれない。 しかし、映画の出来以上に、硫黄島の史実は重い。この題材を取り上げたイーストウッドに先ずは敬意を表したい。

キャラは渡辺謙演ずる栗林中将の独り立ちじゃなく、二宮和也くんの西郷と両キャラ立ちに見える。 読後感としては二宮くんの方が大きいかもしれない。 いくら栗林中将の作戦が素晴らしいといっても、結果は敗戦なのだからあれ以上持ち上げようがない。 市井の人間の目線では二宮くん>栗林中将かもしれない・・

今を生きる私たちから見れば二宮君の言動は当たり前で自然で、感情移入しやすい。 問題は栗林中将含めた軍部上層部の人間である。栗林中将が当時の幹部の人間からは異質であったとしても上層部に反旗を翻す程ではなかったと思う。

私は渡辺謙の「天皇陛下万歳」と発言するシーンを大変興味深く見た。 日本映画やドラマで見る素っ頓狂に甲高く「天皇陛下万歳」とは明らかに違っていた。 あの低く頭を垂れて低く重く発言する「天皇陛下万歳」は、渡辺個人の考えか、誰かの指示か、史実なのか知りたい。

ラストサムライやこの硫黄島といい、日本人以外の映画人が日本を冷静に描いてくれている。 むかし黒澤明に対して海外の記者が「何故戦争を原爆を描かないのか」と質問した事があるそうだ。 黒澤に限らず日本の映画人が真正面からあの戦争を描いて来なかったのは事実だと思う。 60年経った今なら描けるかもしれない。イーストウッドの映画が不十分だと思うなら是非日本人の手で描いて欲しいと思う。

二宮君は本当に素晴らしかった。内面を演じれる若手の素晴らしい役者だと思う。喝采を贈りたい。

(評価:★4)

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