貧しい貧しい下級武士の暮らし、食事の様子などとても興味深く見れました。下働きの男の子？でしょうか、こういう階層の人間がいたんですね。知らなかったです。細部にわたる丁寧な時代考証に、大変好感が持て「いい映画だなぁ」と感じました。

特に、音楽は素晴らしかったと思います。富田勲さんって凄いですね。

さて 「足るを知る」人間清兵衛･・質実堅剛で剣の達人でありながら謙譲の美徳を兼ね備え、所謂サムライの手本のような人間。そういう人間の幸薄い人生･･

清兵衛の不幸な人生と武士の世の崩壊がリンクする。

時代を切り開くパワフルな人物像とは正反対の清兵衛。我々はこのような人間が勝組でないのを知っている。このような人間が今の日本で求められている訳でもない、と思う。

映画は日常生活を淡々と描写することで、日本の一時代の精神とその仕組の崩壊の必然性を描き、尚且つそれでも自分の人生の大義など考えずに淡々と生きてゆく無欲なたそがれ清兵衛の清楚な生き様を描きたかったんだろうか？

などなど考えながら映画は進むが、後半の脚本にはやや乗り切れないものを感じました。特に宮沢りえとの遣り取りはもったいないよ。無骨者の愛の表現としてはもう一歩食い足りず、上手く噛みあってない！と思う･･あーあ残念。

岸恵子のナレーションは、役の上の聞き取りにくいセリフも含めて、あったほうがよく分かったとは思うけど、ラストはねー、何か上手くフェイドアウト出来なかったて言うか、難しいんだろうな･･･・

結局、そういう話がありましたとな、チャンチャン　なんだろうか･・エンドロールの井上陽水の主題歌はどっちつかずで富田さんの音楽が良かっただけに残念です。

丹波哲郎は抜群に面白かったし、宮沢りえも良かった！惜しむらくは真田広之･･･・寅さんの渥美清を望むのは無理と言うものか。真田広之は確かに好演はしていたが清兵衛の核心を掴むには彼自身が色気がありすぎると思う。