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[コメント] ダ・ヴィンチ・コード(2006/米)

原作本を読んでいたので、どのように映像化されているか楽しみに観られた。想像よりも美しいシーンも多く楽しめた。キーである「聖杯」に関して各報道でネタバレ気味だが、僕は既読のため大した問題じゃなかった。ただ勿論、映画の改変箇所に不満がないこともない。
IN4MATION

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ただ、既読ゆえの省略部分に不満がないこともない。クリプテックスが一つしか出てこないとか。殺害される人数も異なるのは結構致命的だと思うんだけど。。。

ラストも微妙に異なる。ソニエールとソフィーの関係が祖父と孫の関係ではなかったり、弟の存在がなかったり。

亡くなった祖父からの愛情を失ってから気付くソフィーの心情、聖婚の儀式の目撃以来冷え切った祖父との期間を悔やむソフィーの心情。この辺りの人間ドラマは明らかに改悪された、と思えてしまう。遺された血脈の希少性を重んじるための改変と思われるが、個人的にはイヤ。

映画を観てから本を読むのが正解だと思った。

この映画は所々に「事実」や「実名」が散りばめられたフィクションである。

「謎が多いダ・ヴィンチ」の絵画や未完遂な発明品から推察できる一つの大胆な仮説を軸に展開していく。

パッション』同様イエスの実在性を大きく取り上げる本作は各方面で上映禁止などの騒動を起こしている。

パッション』よりもさらに衝撃的なことに、ダ・ヴィンチの名画「最後の晩餐」でイエスの隣に座るのはマグダラのマリアで、彼女は娼婦などではなくイエスの「妻」であり、その子孫の血脈は今も受け継がれている、という展開だ。神ではなくイエスの完全なる人間性。。。

ルーブルの逆さピラミッドの下には聖女マグダラのマリアの墓があると締めくくるこの作品は、キリスト教にさほど詳しくない僕でさえ驚きのストーリーだった。

誰がソニエールを殺害させたか、という肝心な謎解きなんて途中からどうでもよくなり、ただただ聖杯の謎に没頭させられてしまった。

イエスを「神の子」と崇めるキリスト教関係者にとってはさぞ衝撃的な「フィクション」だったことだろうことは想像に難くない。

本作品には「フィクション」と知りつつ鑑賞していても、どこかで事実と誤認してしまう「力」がある点は『パッション』同様である。

本作が導き出した結論との関連はさておき、ダ・ヴィンチの作品や絵画に関する様々な謎が知りたいなら、(決して回答は用意されてないけど)ダ・ヴィンチの謎解き書コーナーが各書店にある。そちらの方が面白いものが多い。謎の提示と仮説を網羅してあるだけで余計な話が割愛されているのだから読みやすいし、写真や図説といった情報量が多いのでとてもわかりやすいし興味深い。そんなコーナーを書店に作らせたこの作品の(原作本だけでは成し得なかったであろう、映画化による)功績は大きいと思う。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (6 人)pako makoto7774 ALOHA[*] きわ[*] 映画っていいね[*] Keita[*]

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