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[コメント] 凶悪(2013/日)

ノンフィクションであるところのこの作品をフィクションたらしめている部分はおそらく藤井(山田孝之)とその妻(池脇千鶴)の言動と立ち位置だろう。要介護老人を抱えた家族の疲弊と家庭崩壊の危機。一方でそうした老人を次々と手にかけてきた木村たち。法の向こう側とこっち側にいるだけなのだとラストのカットが如実に示している。巧い。
IN4MATION

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







木村(リリー・フランキー)の面会に訪れた藤井(山田孝之)だが、「一番俺を死刑にしたがっているのは検察でも須藤でもない、(あんただ)」と言い残し、その場を立ち去る。

その場に取り残される藤井。アクリル板に映り込む藤井の表情。カメラのアングルが変わり、藤井を正面から撮る。

面会室のアクリル板一枚を隔てて面会者側に座っている藤井が、ラストのカットではまるで被面会者のような錯覚を受ける。

そのひとつ前のシーンで藤井と妻は、要介護の母親を施設に預ける決断をしている。

妻(池脇千鶴)に至っては、「お義母さんに暴力を振るっていた」と告解までさせている。

ラストのカットは、藤井がまるで、法を犯してはいないが罪を犯したかのように映った。

巧い演出だと思った。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)uyo 3819695[*]

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