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[コメント] Red(2020/日)

ずっと我慢して耐えてきた女が下した決断は揺らぐことはない。それが幸せだという保証ももちろんない。クリスマスに塔子が見せた家の顔と外の顔、ふたつの顔がひとりの女性の顔だということに驚かされる。夏帆ファンとしては非常に複雑な気持ちで見なければいけない作品。
IN4MATION

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







夫・真の言うとおりに生きていれば傍から見れば幸せな夫婦に見えたのだろう。

だが塔子は次第に疑問を抱く。

(「塔子らしくないっていうか......」と言う真に対して)「らしくない......?」

(「情けない。嘘ついて幸せなの?」と言う母・陽子に対して)「情けない......?」

母の言葉、「人間、どれだけ惚れて死んでいけるかじゃないの?」に対して激しく動揺する塔子。

実の母親が娘に対してここまで煽るか?とも思えなくもないが、結果的に母のこの言葉が塔子の決心を促す作用をしている。

夫婦関係を継続するという決断は、外した結婚指輪とともに公衆電話の上に置いてきた。

どれだけ娘が「ママ〜、一緒に帰ろうよぉ〜」と泣いて頼んでも塔子の決断は揺らがない。

鞍田の代わりに運転席に座った塔子が発した最後の言葉、「いきましょう」は

「生きましょう」(白血病に負けることなくふたりで)とも「行きましょう」(結論を出しに)ともとれた。

家庭では妻・母でも、家の外に出ればみんなひとりの女性だ、という至極当たり前なことを、清純派のイメージがまだ根強い夏帆が(塔子を)演じることで説得力が増す。

浮気した女あるあるがこの映画でもひとつ。

公衆電話での会話で塔子が真に問います。

「真くんにとって結婚って何?」

出ました! 浮気した女あるある。

塔子は真の気持ちをわかっている。

浮気した自分に家庭に戻るよう懇願している。

立場的に塔子の方が上なわけです、この時点で。

真は一生懸命、正解を探して、誠実に思われる答えを伝えるわけです、塔子に。

ここが正念場、ラストチャンスと思って。

でも、残念!

それじゃ、塔子の翻意は得られないんです。

なぜなら、この問いに深い意味なんてなくて、正解もないんです。

この問いを投げかけている間、塔子は自問自答しているだけなんです。

「戻るべきか、戻らざるべきか」

真の答えなんてどうでもいい。

やり直す苦労とメリット、全てを失ってでも得られるメリット、両者の損得勘定をしている「間」なわけです。

でも、真はきっといつまでも「あのとき、なんて答えるのが正解だったんだろう?」ってずっと引きずるんです。

所詮、男脳では女脳は理解できません。

真はとてもじゃないけれど「いい旦那」だったとは言えません。

口でさせて、自分だけ逝って寝たり、飲んで帰ってきた日に塔子が作ったハンバーグは食べないけれど、母の作った煮魚は食ったり。

結婚前は共働き賛成派だったのに、結婚した途端に家にいるのが妻の務めと言わんばかりの態度・言動。

でも、最後に難問吹っかけるのだけは勘弁してやって欲しかった。

子供の目の前で、子供を棄てて去るなんてことはしてほしくなかった。

まぁ、もうどうしようもないんだけど。

結局、正解がほしい男はこの映画をこう解釈するしかないんです。

妻を大切にしよう映画であり、前戯も後戯も大切だし定期的に妻を抱こう映画だ、と。

男はわかりやすい正解を欲しがる生き物なもんで。

しっかし、夏帆の紅潮した頬や眼(なまこ)はえげつなくエロい。もちろん褒めてる。嫉妬するほどに美しかったです。

(評価:★5)

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