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[コメント] ファニーゲーム(1997/オーストリア)

嵐を呼ぶブルジョア嫌い。嫌がらせの押し売り。ヘンデルとジョンゾーン、中産階級の腐れインテリ向きの趣味の良さ。最高!!!!
ゴルゴ十三

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







中産階級の自己嫌悪である。むろん筆者も多くのこの映画の鑑賞者同様中産階級の腐れインテリである。スカッとした。

別荘に向かうのにヘンデルを聴くのみならず、演奏者当てまでする「趣味の良さ」に続けてジョンゾーンを闖入させる「センスの良さ」。暴力はすべてご想像に任せる「良識」。丁寧な言葉使いと高等教育、多世界説と会話のための会話。(どうしてお前が、と言う気分だが、「ラテン語の試験」がんばってくれ。)

それにしても、この監督の即物的な音楽の使い方にはピアニスト同様、感嘆する。あらゆる映画で筆者が不満であった部分を改善するものだ。(ストローブ=ユイレ)情景=心象を捏造するのに音楽を使ってほしくない。この点(と構図)における徹底した抑制が、この映画を高度に批判的知性に満ちたものにしている。メタ映画・メタ物語的手法などの出る幕ではない。かかる手法が顕現したとみえる箇所があったとすれば、それは、単なる観客への嫌がらせだ。しかも、正面から受け止めるべき嫌がらせである。この嫌がらせを、下らなく陳腐な映画的レトリックの発露、と逃げることは、戸惑いを隠せない事を差し引いても、どうしようもなく凡庸である。この凡庸さへの無言の肯定こそ、我々腐れインテリの苛立ちのタネと知るべきだ。

観た後は、一杯やらずにはいられない気分になった。

(評価:★5)

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