クライマックス、ボスの片腕と再対決の際にボスが片腕に言う一言。

「気を付けろ。この前は八百長だ」

次のカット絶叫と共にティンに向かっていく片腕。オレ不覚にも涙。

悔しかったろうなぁ。その昔は無敵の男と呼ばれたアンタ。強いが故にティンの強さを見抜き、クラブでの闘いの時も2階のボスの後ろから喰い入るような目で睨んでいたよな。もっともあの場所でのシーンはボスにばかりフレームが行ってたから1/3は顔フレームアウトしてたけど。そんなアンタがボスの指令でムエタイのリングに再び上がり、ドーピングしてたとは言えティンの技を逃げもせず受けるだけ受けて、その上でリング外まで吹っ飛ばしての圧勝。オレは強いんだと。ボスは悪党だけどリングではまだまだいけるんだとアンタはきっと思ったはずだ。それなのに一度ぶちのめした若造が性懲りもなくまた邪魔しにきて、またいっちょ揉んでやるかと思った矢先にボスからあの一言。そりゃ絶叫するよ。ドーピング一気打ちしますよ。あ、ドーピング一気打ちのシーンでオレの右横の席で「アハッ」って笑ったオンナ、お前今度会ったら首相撲3000回な。オレと。

正直カメラワークっての？酷いもんです。街中疾走のシーンなんて2､3ヶ所明らかにピンボケカット混ざってるし、明らかに演出外、仮に演出だとしたら大失敗の画面ブレ等も混ざってるし。でもそんなの関係無い。劇場出たらオレの左隣に座っていたお母さんが連れてた小学校低学年の男の子二人組が早速ＶＦの晶よろしく肘をガンガン突き出しあってた。これが全てです。お母さん、おたくの子供たちはエロ本書いてたオヤジが首都の知事やってるようなこの国でもきっと立派に育つよ。大丈夫だ。悪いことしたらバチがあたって仏像空から降ってくるって子供たちはきっと学んだはずだよ。多分降ってこないけど。そういう意味では改心したジョージを村に返してやりたかったなぁと。ジョージのお父さんお母さんが帰ってきたティンを村を上げて祝っている時の少しだけ悲しげな顔にも不覚にも涙しそうになりました。

冒頭から『ドラゴンロード』を髣髴とさせるような木登りに始まり、『ファイトクラブ』風の、それでいてそっちより200万倍(当社比)くらい痛そうな格闘技場、それにカーチェイスと人間ドラマをスパイスに加えて悪いボスとの最終決戦。わっかりやすいお話にも関わらず子供の頃とは全然違う所でツボ押されまくりだったけれど、オレにはあんな特技もないし、いきなり劇場出てムエタイおっぱじめるほど幼くもないけれどそれでも滾る興奮、そう昔ジャッキー映画で散々興奮したあの頃を思い出させてくれた映画だった。自分の立ち位置に悩んでいる人、小難しい人間関係に悩んでいる人には是非観ていただきたい。

オレは今からとりあえず河原まで走ってカラダ鍛えてきます。