深作欣二に捧げちゃうのかこれ？自分の不勉強を棚にあげて言わせてもらえばむしろ石井輝男に捧げた方が良いような気もする。まぁ階段落ちは『蒲田行進曲』だろうから深作さんの方だろうけど。

それにしてもここまで監督が浮気している映画ってのも珍しい。誰にってあーた、そりゃルーシー・リューにでしょ。はっきり言って彼女をクライマックスにしたいが為に前後編にしたんじゃないかとすら、後編を見ていない今は思う。田島昭宇と石井克人のアニメを見せたいと言う目的はあったにせよ、あまりにも最初の殺し屋と扱いが違う。まぁ、それに答えるだけの素晴らしい所作と芝居を見せているルーシー・リューはやはり立派なのだけれど。

日本映画が無くしてしまったものが図らずも脈々と、そして活き活きとタランティーノの手によって受け継がれていると言う点では嬉しかったりするのだが、その血を受け継ぐ日本人俳優がいないという現実をルーシー・リューに見せつけられた。だってそうだろ。あの役は本来日本人がすべき役だ。過去の作品を省みず文字通り闇雲に好き勝手やってきた挙句、テレビに食い尽くされた日本映画は自分の足下だけじゃなく俳優までも殺してしまった。

その責任の一端は俺達観客にもあるのだけれど。