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[コメント] ダンス・ウィズ・ウルブズ(1990/米)

素晴らしいと思った点等、そのまとめ。ちょっと、長い・・・カモ・・・・
mimiうさぎ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







この映画で特に素晴らしいと思った点

●インディアンが悪者ではない● それまでの西部開拓時代の映画では、悪者のインディアンを白人が倒すという図式だったのだが、この映画では白人の方が自然と融合して暮らすインディアンの生活を剥奪する悪者のようにされている。 某国の様に、「俺ってスゴイだろう」をひたすら見せ付けられるより、過去の過ちを映画にまでしてそれを評価出来る事が、逆にアメリカの懐の深さを感じずにはいられない。

●インディアンとの出会い● 「蹴る鳥」らがダンパーの砦に始めていった日、ダンパーは、いきなり妙な仕種をし出す。背中に靴を乗せ、よたよたと地面を四つんばいで歩くのだ。その時、「風になびく髪」は、「こいつ馬鹿だ」と呆れる…といったシーンがあるのだが、やけに涙が出てしまった。

今までの映画のパターンならば、きっとこうだろう。ダンパーが文明物を取り出すと、インディアン達はその使い方が分からず、四苦八苦。そして、おもむろにダンパーがそれを使ってみせると。

ところが、本作では、ダンパーが体当たりで彼らに接近を試みている。ボディ・ランゲッジで必死に何かを伝えようとするダンパーと、それを理解しようとするインディアンという構図が素晴らしい。

そのシーンがあるからこそ、後の「蹴る鳥」「10頭の熊」(族長)らの言葉に重みが増す。文明に頼らずとも、インディアンの思考がいかに深いものであるかがとても伝わってくるのだ。このシーンなしには、この映画は語られない。

●「拳を握り立つ」が美人でない● この映画は、82年の『ギャンブラーズ/最後の賭け』というマイナー映画から始まっていた。その映画の監督ジム・ウィルソン(本作では製作担当)、脚本のマイケル・ブレイク(本作では脚本・原作担当)、ケビン・コスナーは、以来交友を暖めていた。

そして、ブレイクの原作のこの映画を撮るにあたり、コスナーは私財までも投じているのだ。

監督・製作と手がけるコスナー(無類の女好き)が、美女を選ぶチャンスはいくらでもあっただろうが、敢えてそれをしなかったのは、インディアンの村で言葉を忘れるほど長く暮らした白人が、絶世の美女だったらストーリーに真実味が失われてしまうからではないかと考える。

●孤独」の描写● ダンパーは、最初孤独を愛している。日記があれば一人でいる事は苦にならないと語っているのだ。しかし、バッファロー狩りでインディアンらと楽しい祭りを過ごしてから、彼は急激な「孤独」に襲われるのだ。

「孤独」。それは、本来人間が持っているべき普通の感情なのだ。しかし、彼はそれが欠落していたのだろう。もしくは、白人世界の中で、孤独よりも素晴らしい人間の触れ合いを感じた事がなかった人だったとも言える。

「ツー・ソックス」が見つめる中、一人たき火の周りを踊るダンパー。その中に、切ないまでの彼の「孤独」が込められている名場面だ。

●「ツー・ソックス」● 彼は一体ナニモノなのだろう。この演技力(?)映画が古いせいで彼についてのエピソードを得る事が出来ないが、彼の演技なしではこの映画は成り立たなかっただろう。

「俺の名は「風はらむ髪」!「狼と踊る」の友、「風はらむ髪」!」 「友」という言葉の素晴らしさを、改めて教えられた気がする。

この映画がアカデミー賞総なめにした事はとても理解できた。しかし、個人的に好きになれない場面がある。それは、ポーニー族との争いに、「拳銃」を持ち出した点だ。ダンパーを村人の英雄とする為には致し方なかったエピソードかもしれないが、釈然としない。

文明が進めば進むほど、戦いが醜く、激化するものだと思う。戦う事は人間の本能によるところであり、一種の自然の摂理だ。しかしその戦いは、拳には拳、矢には矢、そして銃なら銃と、被害はどんどん拡大していくのだ。ダンパーがインディアンに銃を与えた事は、果たして彼らの為に良かったのだろうか…。思慮深き「10頭の熊」がその事に賛成したのにも、疑問が残る。

余談だが、欲張って4時間アナザーバージョンを観たら、死んだ。ノーマル・バージョンで観る方がいい。あ。それと、ケビン・コスナーは、自身チェロキー・インディアンの血を引いている。本作に力が入ったのも、その事が多分にあるに違いない。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)ナム太郎[*] かける ギスジ

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