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[コメント] 評決のとき(1996/米)

この絶望的な話は、遠い外国の事ではない。今の日本でも似たような事は起こっているのだ。
mimiうさぎ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「報復」はいけない。いけないが、カール・リー・ヘイリーの気持ちになってみると、その気持ちも分からないでもない。幼い少女の痛み。まだ10歳の娘が、子供を産めなくなってしまったと宣告される時の親の気持ちを考えると、その痛みを察するにあまりある。

罪を犯した者を本来裁いてくれるはずの「法」が自分の味方になってくれない時、その怒りの矛先はどこに向けたらいいのか。

私は絶対風化したくない事件がある。

それは、1999年4月に起こった『山口母子殺人事件』(詳しくは下)だ。夫の元村氏が仕事に出ている間、18歳の少年が強姦目的で、彼の妻と11ヶ月の赤ん坊を殺した事件。元村氏が少年の供述書を公開し、裁判のあり方を訴えつづけた事で、当時毎日のように報道されていたので、ご存知の方は多いと思う。

一審、山口地裁で下された判決は「無期懲役」だった。一見厳しそうに見えるこの判決だが、実際には、10年以上服役した者は少ないという大甘な判決なのだ。

この判決が下された時、元村氏は報道陣の前でこう言った。

[司法に裏切られました]…と。

この映画は、KKK問題などたくさんの事を詰め込みすぎ、収拾の付かなくなってしまった事が残念だが、「司法の有るべき姿」を考えさせてくれた事には、とても共感が持てた。

元村氏は言った。[判決は加害者だけのものではない。少年への憎しみを乗り越えていくためには、 死ぬほど努力しなければならない]

どうか、元村氏の思いを叶えて欲しい。司法は、加害者のためだけでなく被害者の気持ちを優先させるべきなのだ。今の日本の方では難しいのかもしれないが、「極刑」という判決が下る事を。

絶望の末、被害者が加害者となる、そんな哀しい事件を引き起こさないためにも、厳しい判決は必要なのだ。

元村氏の思いが通じ、「19歳の少年」というオブラートで包まれた凶悪犯を許さない、そんな日本になって欲しい。

山口母子殺人事件

1999年4月14日、山口県光市。当時18歳の少年はふと「セックスがしたい」と思い、辺りを見渡したがそれらしき女性がいなかったため、排水検査を装って、元村氏のアパートに上がり込んだ。当時23歳の妻を襲ったが、大声を上げ抵抗されたため、「そうだ、殺してからやればいい」と思い、首を絞めて殺害。

母の異変を感じた11ヶ月の赤ん坊が、はって泣きながら母にすがり付いた。あやしたが泣き止まないので、足を持ち床に数回叩き付けた。血を流しながらもまだ母にすがりつくので、紐を巻き絞殺した。

その後、事件発覚を恐れ2人の遺体を押し入れに隠し、逃走した。

2000年3月22日、大一審山口地裁。検察官側の死刑を求刑に対し、「無期懲役」という判決が下された。

(評価:★3)

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