[コメント] 婚約三羽烏(1937/日)
佐野周二の部屋のシーンから始まる。二階の窓の棧に座る佐野。遠くの高架を走る電車。階下から名前を呼ばれる。家の前に三宅邦子。一階は、たばこ屋で、飯田蝶子が大家さん。佐野と三宅が二階を間借りしているのだ。三宅が階段の踊り場のような狭い場所で目玉焼きを作る。電熱器に鉄のフライパン。
三羽烏が知り合う面接シーンは、本作の中でも突出した場面になっていて、面接官の斎藤達雄と河村黎吉のコメディパートだ。接客試験で河村が美人の女性客の役をやらされる。これが、いつまでも(試験が終わっても)やるので笑わせる。上原は裕福な家庭の出で、コイン手品を見せたり、家ではホルンを吹いたりする。対して佐分利はすごい髭面の一文無しだが、豪快な性格でよく笑わせる。三羽烏の三人は、皆運よく就職ができ、銀座だと思うが、会社のアンテナショップのような店で接客の仕事に就く。実は三人ともステディと呼んでいい女性がいるのだが、社長令嬢の高峰三枝子に惚れてしまう、という展開だ。
さて、高峰を誰がゲットするか(高峰が誰を選ぶか)、というお話になっていくのだが、帰結は書かないでおくが、実はあまり面白くならない。顛末の描き方も雑なプロット構成に感じる。それでも、島津保次郎なので、よいシーンは随所にある。特に、西洋音楽を取り入れた演出は見どころだろう。次に箇条書きで書き留めておきます。
・就職が決まった佐野が、帰宅するカットを繋ぐ際に「シカゴ」が流れる。
・レハール「メリー・ウィドウ・ワルツ」を、店の屋上で高峰三枝子が歌う。
・高峰の邸で、上原がホルンを吹く。曲はリスト「愛の夢」第3番。
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