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[コメント] 不知火檢校(1960/日)

面白い!主人公がこれだけ徹底して悪い奴、という映画はちょっと無い。(ま少しはあるんだけど、とりあえず無い、と云っておこう)。そういう意味では、勿論、勝新の役者生命を賭けた一世一代の造型が面白さの源ではあるが、プリプロダクション(企画・脚本段階)の功績も大きい。
ゑぎ

 犬塚稔の脚本がしっかりしていることは、タイトルバック(及び開巻)とエンディングがいずれも神輿祭りで円環となる構造を取っていることろや、中村玉緒をたぶらかすシークエンスの、もう唸らずにはいられない簡潔な見せ方の部分などにおもんぱかることができる。或いは、須賀不二男安部徹らヤクザとの関係が変わっていく面白さも脚本家の仕事だろう。

 加えて森一生の仕事としても彼らしいケレン味を発揮したシーンが多々あり、撮影現場の創意も充分に伝わる。例えば勝新と近藤美恵子が暗闇の中、2人だけにスポットライトが当たっている演劇的な幻想シーンだとか、或いはエンディングの勝新の大暴れとラストカットの強烈なイメージだとか。 とは云え矢張り際立つのは勝新の独創性。座頭市の準備作のような云い方をされることもあるし、確かにキャラクターとして繋がっている部分も感じるが、しかし本作単独で見ても勝新の悪の造型は屹立している。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)disjunctive[*] ジョー・チップ[*]

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