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[コメント] 怒りの河(1952/米)

アンソニー・マンジェームズ・スチュワートのコンビによる西部劇2作目。本作も見所満載の良く出来た作品だ。舞台設定として、岩山こそ出て来ないが、多くのシーンで雄大な雪山がバックにあり、随所で高低を活かした画面設計もある。
ゑぎ

 山の風景と対比するように、オレゴン川を行く蒸気船がスペクタキュラーだし、ポートランドの町の描き方も、金の換金所が内部にある、サルーンの濃密な空間描写(人の密度が高い!)など、瞠目に値する。

 さて、本作ではスチュワートと拮抗する相手役としてアーサー・ケネディが複雑な役どころだ。彼の動向でプロットがシフトしていく。だが、この2人は合わせ鏡のような位置づけなのだ。縛り首、暗い過去とその払拭(更生)といったモチーフは共通であり、ヒロインのジュリー・アダムスを巡っても対抗する(というか、彼女に対してはどちらも、強い執着は描かれないが)。見ようによっては、ケネディの方が魅力的なのだが、本作のもっとも良い部分は、後半でスチュワートが画面に登場しなくなり、ケネディに焦点があたるシーケンスだろう。スチュワートを全然映さずに、ケネディ達が、夜、どこからか、銃弾を浴びせられるといった演出だ。

 ただし、惜しむらくは、クライマックスの川の中での対決シーンで、撮影環境の制約もあったのだろう、こゝはちょっと分かりにくいアクション場面になってしまっている。

#備忘で配役等を記述。

・スチュワートがガイドをするトレイルのリーダが、ジェイ・C・フリッペン。その娘にジュリー・アダムスと妹のロリ・ネルソン

・ポートランドのシーンの登場人物は多彩。まず、町の顔役で、最初、食料品を手配する商人はハワード・ペトリー。その相棒のような、ケネディの過去を知っている男にフランク・ファーガソン。蒸気船の船長がチャビー・ジョンソン。その助手は、ステピン・フェチットだ!そして賭博師で、ロリ・ネルソンと恋に落ちるのが、若きロック・ハドソン。ハドソンはまだまだ売出し中という雰囲気だが、ラストまで筋に絡む良い役だ。

・中盤以降、スチュワートに雇われる人夫達も脇役ファンにとっては豪華版。リーダ格がジャック・ランバート。あとフランク・モーガンロイヤル・ダノ

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)3819695[*] ナム太郎

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