[コメント] 雲の上団五郎一座(1962/日)
舞台のシーンは殆ど2台のマルチカメラで撮影されダイナミックなカッティング・イン・アクションを見せる。特にフランキー堺と森川信の勧進帳が見もの。二人の芸もだが、このカッティングにはしびれる。『バンド・ワゴン』の「ガール・ハント・バレエ」のカッティングを想起したぐらいだ。(ちょっと大げさ)
タイトルロールは榎本健一だが、この頃のエノケンはもう元気がない。おどけた顔芸が見られるぐらいだ。最初のシークエンスは三木のり平と八波むと志の二人がひっぱる。二人が一旦退場すると、今度は由利徹、南利明、佐山俊二の三人が登場して訛り合戦で見せ場を作る。そして実質的な主人公、フランキー堺と水谷良重がメインのプロットを構成していき、ラストのカルメンへ向って登場人物が収束する、というかたちのしっかりしたプロット展開を持っている。ただ、一方で昭和の喜劇役者達の舞台をそのまま映し撮ることが主眼と思える部分も多いので、映画としての(映画ならではの)演技・演出は比重が小さく少々物足りない感が残る。
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