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[コメント] 組織(1973/米)

実によくできた犯罪映画だ。難点を上げれば主人公のロバート・デュヴァルが格好良すぎるという点か。
ゑぎ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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 逆に云うと、組織側がちょっと現在の映画では考えられないほど脆弱なのだ。だいたいジジイばかりだし。ボスのロバート・ライアンはいいとしても、もう一人強烈な悪役を登場させるという手もあったと思う。ティモシー・ケリーも出てくるが、この人も強い造型ではない。そんな惜しい点はあったとしても、しかし各シーンの画面は撮影・演出がばっちり決まっていて揺るぎない安定感だ。例えば自動車の撮り方がいちいち決まっている。フロントガラス越しの会話カットにしても、逃げる際の後部ガラスから敵を見せるカットにしても、流石ブルース・サーティースだと思わせる。

 デュヴァルの恋人役、ヒロインにカレン・ブラック。劇中、何度か美人と云われる。ちょっと癖のある顔なので、美人と云われると首をかしげるのだが、ただ本作の彼女は確かに綺麗だ。見た中で一番綺麗かも知れない。 『ローリング・サンダー』の終盤の展開は脚本家ポール・シュレイダーの嗜好なんだろうと思っていたのだが、本作でもエンディングはまるで東映任侠映画のようにデュヴァルと相棒のジョー・ドン・ベイカーで組織に殴り込みをかける。これはジョン・フリンのものだったのか!またその帰結は東映任侠映画ではあり得ないアメリカ映画らしい大らかさなのだ。

#その他配役を中心に備忘。

・デュヴァルの兄貴の家人として『過去を逃れて』のジェーン・グリアが出てくる。これが芯のあるいい役。レスペクトを感じる。

・組織のボスはロバート・ライアン。その若い妻はジョアンナ・キャシディだ。この『ブレードランナー』のレプリカントの1人は機嫌が悪いシーンばかり。サービスカットはバスローブ姿で横臥している際の、脚出しカットぐらい。

・ジョー・ドン・ベイカーの店?の店員はエリシャ・クック・Jrだ。嬉しい!

・バーのシーンでジャズ歌手のアニタ・オデイが出ている。カウンターに座っているのが後景に映っているだけ。全然目立たない。ラジオからだろうか、BGMで彼女が唄う I Concentrate On You (Cole Porter) がかかっている

・車を調達するシーンがいい。車屋はリチャード・ジャッケルビル・マッキニーの兄弟がやっている。弟の妻がシェリー・ノースで、これが悪い女。セクシーな見せ場を作る。考えると、本作と同年のドン・シーゲル突破口!』でも彼女とジョー・ドン・ベイカーが出ていた。

・この頃のカレン・ブラックは可哀想な役ばかりだなあ。2013年鬼籍に。合掌。

(評価:★4)

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