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[コメント] 女囚さそり けもの部屋(1973/日)

シリーズ第三作は成田三樹夫が敵役の刑事。冒頭アバンタイトルの地下鉄内で、成田は、さそり−松島ナミ−梶芽衣子に手錠をかけるが、繋いだ右腕を肘上から切られる。
ゑぎ

 クレジットバックは、成田の右腕を持って(ぶら下げて)街中を走る梶の高速度撮影だ。ゲリラ撮影のショットもあるのだろう、通行人が皆振り返る。こゝが全編で一番インパクトのある部分かもしれない。

 クレジット開けは、男が上に乗ったマグロ状態で虚ろな顔をしている女性。これは渡辺やよいで、シリーズ第一作とは別人の役。知恵遅れの実兄とセックスしているシーンだ。渡辺は、本作でも登場から胸を露わにする。近親相姦モチーフは昔から映画で描かれているだろうが、『(秘)色情めす市場』よりも本作の方が先、ということは書いておきたい。また、渡辺は、第一作と同様に、梶の味方になる役で、梶が墓地で成田の腕のついた手錠を切っている際に知り合い、倒れた梶をかくまう。

 唐突に洋裁店でミシンを踏む梶。さそり−松島ナミは洋裁ができる、という設定のようだ。本作の梶−さそりは、渡辺と2人歩くシーンで、珍しく少し笑顔を見せる。また、渡辺は外娼でもあり、ヤクザに引っ張られた先の組事務所のボスは南原宏治で、その情婦が李麗仙。渡辺はこゝでも蹂躙される。本作も梶は脱がないが、その代わり、渡辺が全編で何度も情交シーンがあり、ヌードを披露する。あと、中盤から梶の住むアパートの住人として、藤木孝真山知子のカップルも梶の敵としての位置づけになる(警察へ通報すると脅す)。しかし、この2人のプロットは中途半端だ。

 後半、警察を逃れて梶が下水道に逃げ込んでからの場面はなかなか迫力のある造型で良いと思った。警察が捜索するとともに、渡辺が、マッチに火をつけ、マンホールから投げ入れながら、梶の行方を捜す。成田は、下水道へガソリンを流し、喫いかけのハイライト(煙草)を投げ入れる。

 尚、李麗仙とカラスのイメージが忘れがたいビジュアルだ。事務所の中にはカラスの鳥小屋があり、彼女は『去年マリエンバードで』のセイリグみたいなドレスを着ているシーンもある。しかし、終盤の彼女は、さそりにビビってオカシクなってしまう。結局、李麗仙が良いところ無く終わってしまうのも、中途半端に思う。

#備忘でその他の配役等を記述

・成田以外の刑事役には、藤山浩二がいる。

・渡辺やよいの兄の役は神太郎

・ヤクザたちの中で目立つのは八名信夫

・ヌードスタジオの女で、少し頭の弱い無理やり堕胎させられる女が森みつる

・闇の堕胎医は関山耕司

・刑務所シーンで人形を子供と思いこんでいる女囚は木村俊恵。看守で佐藤晟也

(評価:★3)

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