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[コメント] 愛の嗚咽(1932/米)

独り立ちしてまだ間もない頃のキューカーだが、流石の空間描写だ。玄関から入った大きなリビング、階段、ミュージックルームと呼ばれるピアノのある部屋といった屋内空間を機能的に見せるのだ。そして本作は、キャサリン・ヘプバーンの映画デビュー作。
ゑぎ

 タイトル開けは、邸宅の外観。「英国、クリスマスイブ」と字幕が出る。カメラは少し寄って、屋内の俯瞰に繋ぐ。パーティ中だ。男が誰かを捜している。男の視線に合わせてパンニング。階段上にヘプバーンが登場する。ヘプバーン、階段を降りて、男−デヴィッド・マナーズに駈け寄り、ダンスを始める。本作は、全編、この邸宅の敷地内からカメラは出ない。自動車が邸前につけられるカットがあるぐらい。

 ヘプバーンは、確かに初々しさも感じるが、しかし既に大した貫禄だ。彼女は母親のビリー・バーク(『オズの魔法使』の良い魔女です!)と二人で暮らしており、父親は15年前から精神病院に入っている。ヘプバーンには上に書いたデヴィッド・マナーズ演じる恋人がいるのだが、実は母親にも男性がおり、こちらも結婚を約束しているという状況だ。そこに、父親のジョン・バリモアが15年ぶりに戻って来る、というお話。バリモアが尋常じゃない激昂を見せる場面もあり、本当に快癒しているのか、というスリルも生まれる。また、父の病気は遺伝性のものかも知れない、というヘプバーンの恐怖心がプロットを転がしていく。

 しかし、題材から分かる通り、もともとは舞台劇の映画化で、バリモアが純然たる主役。二番手がバークでヘプバーンは三番手といったクレジット。やはり、バリモアの大仰さは少々演劇っぽくて鼻につく。ヘプバーンとバリモアの二人がピアノを弾く場面でバリモアが全然弾いているように見えないのも、ちょっとがっかりした。

(評価:★3)

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