[コメント] オペラ座の怪人(2004/米=英)
オペラ座の屋上・天井から奈落の下の隠れ家まで実に高低を活かした画面造型だ。縦横無尽な視点移動にも瞠目する。美術・装置と撮影は禍々しさを醸成して素晴らしいと思う。エミー・ロッサムの可憐な美しさも特筆に価する。かつてない資質を持った映画スターの誕生を目の当たりにする興奮、とまで云えば大げさかもしれないが。
しかし、のっけから怒涛の展開でラスト迄まるで全編クライマックスの演出。音楽も殆ど鳴り止むことがない。モノクロで表現された現在のシーンは一見静かな語り口だが、粒子の粗い画調やディゾルブを多用した処理などで、これとて画面は非常に煩い印象を与えるものだ。確かにこのパワーは只事ではないのだが、なんとも独りよがりな演出に感じられてしまう。もう少し緩急をつけるべきだったと私には思える。
映画の特質の一つは「静謐さこそが重要」ということ。
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