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[コメント] 私の20世紀(1989/独=キューバ=ハンガリー)

動物好き。本作ではロバ、サル、犬の見せ場がある。中でも、ロバの見せ場は冒頭とラスト近くと2回あるが、この2回のシーケンスが本作中最も良い、それは、驚きのある場面になっている。
ゑぎ

ブタペストでの双子の姉妹、ドロタ・セグダが二役で演じるドーラとリリの離別と邂逅。それをロバが導く。いずれにおいても(離別はともかく、邂逅においても)、二人にとって全く驚きの無い出来事である、ということに、我々観客は驚かされるのだ。

 ドーラとリリを結びつける存在はロバだけでなく、オレグ・ヤンコフスキー演じるZという男もいる。彼は二人が双子だという認識なく、いずれとも情交を通じるのだが、特に町でリリに会ったZが、自分の部屋へ誘った後の場面で、てっきり、ドーラとの船上の思い出を話す会話があり、二人が別人だと分かる、そして、リリは双子の姉?の存在を知る、といった展開が待っていると思っていたのだが、そんなこと全くする気がないのがいい。さらに、ロバに導かれて、3人は鏡の部屋に集まるが、ドーラとリリは何の屈託もなく、一緒に並んで寝ているのだ。これには驚く。普通の話法ではない。

 さて、本作の「光」に関しても、触れておかなくてはならないだろう。まずは、オープニングが、1880年のニュージャージー、エジソンと白熱電球の場面から始まるという点。木に取り付けられた、沢山の電球のカットが美しい。続いて、幼児の双子が雪の夜に売るマッチ。あとはテスラの電磁波実験の再現シーン。こゝで、この実験の聴講者としてZは登場する。そしてシベリアの原野での、星の光。

 中盤の女性参政権に関する講義の場面や、動物園のサルとハンターの話、電極を付けた犬の部分などは、理屈っぽくてつまらない。

 あと、ドーラが「あ」とか「きゃ」とか溜息とも嬌声ともつかぬ小声を発するのが気持ち悪い。

(評価:★3)

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