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[コメント] 折れた矢(1950/米)

画面造型として大きく二つの良い点がある。一つは、カメラワークのきめ細かさで、ドリーとパンニングを使って絶えずカメラを動かし、的確な構図を維持していく。屋内でも屋外でも会話シーンにおけるカメラワークはとても繊細な演出がなされている。
ゑぎ

 二つ目は、屋内シーン以外は、ほゞ、ロケーション撮影されている点で、岩山や峡谷、川の畔といった背景の高低差を活かし、充実した画面を造型している。例えば、主人公ジェームズ・スチュワートとヒロインのデブラ・パジェットが川の畔で逢引きするシーンなんか、普通は(フォードやホークスの映画でさえ)屋内スタジオ撮影だろう。こういったところに驚かされてしまう。

 インディアンの習俗を描く部分は、多少興味はひかれるが、嘘っぽい。嘘っぽいのはいいとしても、明らかに活劇としての強さを弛緩させている。それと、エンディングの神話的帰結は、頭でっかちな作劇にも思えるが、悲劇の部分は私の好みだ。あと、コーチーズ酋長役のジェフ・チャンドラーの存在感は特筆すべきだが、彼が立派に描かれ過ぎており、ジェロニモが酷い扱いである、といった点も、偏った見方、というよりは、映画として狭量に感じる。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)袋のうさぎ

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