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[コメント] 長屋紳士録(1947/日)

飯田蝶子の圧倒的な素晴らしさ。その睨んだ顔の怖いこと。劇中、吉川満子から「あんたは土佐だもん。ブルも入っているけど」と評されるがそんな形容じゃ足りない足りない。般若と云ったほうがシックリくるくらい。また茅ヶ崎の浜辺のシーンで子供から逃げるために走る飯田蝶子も実にいい。
ゑぎ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 飯田蝶子の子供に対する気持ちの変転−子供に情が移ることになる展開−が少々性急なのと、ラストの彼女の科白が日本人全体へ対するメッセージになっており、お説教臭いのが気になるが、しかし素晴らしいシーンに溢れている。茅ヶ崎の浜辺の描写、寝小便をして出奔した件にまつわる河村黎吉の「たれ逃げ」という科白、写真屋のシーンで天地逆さまのカットを見せ、オフでシャッターが切られた後、暫く暗転する処理等々。そしてこの映画の白眉は物語を語る上では何ら機能しないかのように挿入される、笠智衆がのぞきからくりの口上を真似て唄うシーンだろう。まず笠智衆の芸の抽斗に驚かされるが、このシーンの飯田蝶子の合いの手の可笑しいこと。お話を効率的に運ぶことを阻害しても、彼女の豊かなキャラクタリゼーションを印象付けるという意味において、或いは観客を彼女へぐっと引き付けるという意味において見事に機能しているシーンだ。

(評価:★4)

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