コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 風の中の牝鶏(1948/日)

本作も「小津らしくない」とよく云われる作品で小津自身も失敗作だと認めているのだが、勿論決して悪くない。確かに序盤の展開は少々性急で、特に田中絹代が「事の次第」を夫・佐野周二へ打ち明けることになる話の運びの呆気なさには唖然とした。しかしこれも小津らしい潔さと云えなくもない。
ゑぎ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 ラスト近くの田中絹代の階段落ちから続くシーンが最も良いシーンだろうが、中盤の佐野周二と娼婦−文谷千代子との原っぱでのやりとりが忘れがたい。小津は原っぱ好きだ。

 田中絹代はこの映画と同年(1948年)に溝口健二夜の女たち』でも夫の復員を待ちながら身を持ち崩す女を演じていて興味深い。両者を比べると溝口の描きぶりの冷徹さが際立つだろう。小津の数倍は厳しい。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (1 人)寒山拾得[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。