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[コメント] 明日に処刑を…(1972/米)

スコセッシの処女作も瑞々しい才気がほとばしる傑作だ。タイトルロールを演じるバーバラ・ハーシーも乗りに乗っていて、スコセッシ以上にハーシーの映画だと云っても良いぐらいなのだが、しかし要所要所で演出のこだわりが画面を、観客のテンションを引き締める。
ゑぎ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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 冒頭のデビッド・キャラダインの顔を手前にして車の側のハーシーらを奥に映す極端な縦構図、或いは成瀬の『乱れる』ばりの突き放しが描かれる驚愕のラストカット等縦構図の画面造型は悉く冴えを示す。また銀行強盗シーンのカット割りはとても低予算映画とは思えない的確できめ細かなものだ。そして中盤で出てくる隠れ家のデコレーション等説明的な描写が全く省かれているが、しかし面白い装置で、やはり相当のこだわりが感じられる。勿論私が云うまでもなくラストの唐突な磔(はりつけ)の登場はスコセッシ以外では考えられない展開だ。

 習作という云い方も可能だし、やりたいことを全部きっちりとできたわけではないとは思うが、しかし本処女作からスコセッシの強烈な個性がはっきりと定着している。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)3819695[*] ナム太郎[*] shiono

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