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[コメント] 眼下の敵(1955/独=米)

あらためて見ると、これ約一日のお話ですね。艦長室から出ない新任艦長を、乗員たちが船酔いじゃないかと噂する場面等がもっと長いかと(もっと時日をかけるているかと)思っていた。
ゑぎ

 Uボートの出現で艦長は姿を現し、てきぱきと指揮を執り始めるという、能ある鷹は爪を隠すタイプの、ハリウッド映画の類型的なヒーローをロバート・ミッチャムが演じているのだが、こういう役はグレゴリー・ペックが一番相応しいように思う。後半の、ある種だまし討ちのような反撃を指揮する部分も含めて、やっぱりペックの方がいい。ミッチャムだとセクシーさに目がいって落ち着かない。

 また、Uボートの指揮官を演じるクルト・ユルゲンスは、本作がハリウッドデビューだが、もうこれで、ナチスに対して批判的なドイツ軍人のイメージがついてしまったという感じですね。戦友のセオドア・バイケルに、人間系の判断を捨てた最新装置への不信を語るシーンがあるけれど、ユルゲンスにしても、ミッチャムにしても、敵の攻撃を避ける際に、ほとんど勘と云っていいようなギリギリの感覚で勝負している部分が面白くもあり、恐ろしくもあります。

 さて、画面としては米駆逐艦の爆雷攻撃で、海面に水柱が立つ一連のカットが最もスペクタクル。逆に云うと、戦争映画らしいスペクタクルは殆んどこゝだけか。あとは、息をひそめて位置の探り合いが多い。それはそれで、上手く緊迫感を出した演出ではあります。

 あと、上にも書いた、米軍側のだまし打ち攻撃が描かれ、流石にこれでは卑怯と思われかねないからか、バランスを取るかのようにドイツ側を助ける場面が描かれますが、このシーンでの、船上でのロープワークを丹念に見せるあたりは、実際感があり、見応えあります。

(評価:★3)

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