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[コメント] ブルー・ガーディニア(1953/米)

フリッツ・ラングにしては、幾分軽妙な犯罪映画だ。それは、ヒロインのアン・バクスターが、アン・サザーンジェフ・ドネルとルームシェアをしており、彼女達3人の賑やかさと華やかさが影響しているし、或いは、普段は悪役側も多いリチャード・コンテが、純然たる二枚目である、ということも大きい。
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しかし、そうは云っても、やっぱり最も良いシーンは、例えば、バクスターが誕生日に一人(というか、朝鮮へ出兵している恋人の写真と共に)食事をしようとするシーンで、部屋の明かりを消して蝋燭の火を灯す場面や、エンディング近くの、コンテが待つ真っ暗なオフィスにバクスターが一人でやってくる暗い画面なんかであって、やっぱり、ローキーの画面造型なのである。

 さて、タイトルは、劇中登場するクラブの名前であり、そのクラブのシーンで、ナット・キング・コールが唄う曲名でもある。クラブの名前であるということでは、『THE BLUE DAHLIA』(邦題『青い戦慄ジョージ・マーシャル,1946)を思い起こすが、クラブの装置としてのゴージャスさでは本作は完全に負けている。矢張り、プロットのキーになる音楽としての、このタイトルだと考えるべきだろう。クラブでの生唄の後も、部屋のレコードでも、レストランの卓上ジュークボックスでも流れるのだから。

 あと、バクスターがレイモンド・バーからラムベースのカクテルを飲まされた後の酩酊状態を表現する方法として、彼女の見た目の画面にかぶせて、排水溝に水が流れていく渦巻きのイメージショットがある。

#ちなみに『サイコ』は1960年の映画なので、本作から7年後の作品。

(評価:★3)

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