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[コメント] エグザイル 絆(2006/香港)

すごい迫力あるシーンがいっぱいありますが、中でも、レストランでマフィアのキョン・ラム・カートンを暗殺しようとするシーンがいいですね。複数のベクトルの殺意が複雑に交錯して尋常でない興奮状態を作ってます。
ゑぎ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 まず、サイモン・ヤム演じるマフィアのボス、フェイの予期せぬ登場がいい。これは登場人物も我々観客も誰も予想していないので驚きが倍増しになり、尚且つ、理屈がいらない驚き(マフィアのボスなのでどこに出てきてもおかしくないって感覚)なので瞬時に展開を呑み込めるスピード感があります。そして、サイモン・ヤムとアンソニー・ウォンの関係を明確に変化させていく複雑な方向の銃撃が描かれますが、矢張り銃撃に至るまでの感情の出し方が秀逸で興奮させられます。銃撃戦が錯綜してくると、ちょっと分かりにくい見せ方になります。誰が撃たれたのか等が終わってみないとよく分からないという点はもう少し整理できそうです。あと、冒頭のウーの家を舞台にした2階の窓と表の通り、闇医者のアパートの窓と地上の花壇など、そしてクライマックスにもなるジェフのホテルの2階建ての構造なんかは、高低のある空間の使い方が効いています。

 もうひとつ、本作も写真が重要な道具立てで使われていますが、少年時代の写真が2回提示されます。この写真って誰の目線でもなく、誰の持ち物でもないですよね。これは私にはけっこう違和感が残ります。例えば、アンソニー・ウォンのポケットに入っていたとか、ウーの家に飾られていたとか、そんな演出を潜り込ませることもできたと思うのですが、敢えて映画の世界の外側から云わば神の目線として提示することが選択されているのだと思います。私は違和感、という書き方をしましたが、強調表現というか、とにかく観客に「引っかかり」を残すことを選ばれたのではないでしょうか。写真自体は感傷的に過ぎる感もしますが。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ペンクロフ[*] 3819695[*]

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