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[コメント] カルメン故郷に帰る(1951/日)

小学校の校庭。先生役の佐田啓二らがダンスをしている場面が映り横移動して一人の男の子。さらに横移動して盲目の佐野周二が登場するこの素晴らしい移動撮影。どう考えてもふざけているとしか思えない木下演出が随所で弾けてこれも面白いのだが、そんな中でこの佐野の登場カットのような神懸った画面がある。
ゑぎ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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 或いは丘の上で高峰秀子小林トシ子が踊るシーンは戯画化された可笑しさも溢れるが、しかしロングショットの美しさが頭でっかちな演出を開放し、我々は画面を見る喜びで一杯になる。そしてクライマックスの裸ショウのシーンも特筆すべきだろう。見所だらけなので、こゝがクライマックスと云っていいかどうか躊躇するところだが、しかし、床が揺れる演出を含めて全く常軌を逸した素晴らしいシーンになっている。また、全編に亘って高峰の伝法な台詞回しの魅力も堪能できる。ラスト近くの「わかったかしら」「まるわかりですよ」という確か三井弘次とのやりとりから続いて「やっぱり帰ってきて良かったわ」という帰結の明朗なこと。予定調和かも知れないが予定調和だからこそのほど良い諧謔と幸福感。

 木下や高峰が「芸術」を創造しようして本作が出来たものだとは思えないけれど、しかし少なくも「これは映画として面白い」と確信して作られたもののように思える。日本初という技術的成果以上に木下恵介の最良作の一本として、もっと正当に評価されてしかるべきだ。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ペンクロフ[*] づん[*]

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