[コメント] 龍三と七人の子分たち(2015/日)
もっとぶっ飛んだ(もっとくだらない)喜劇になっているかと期待(危惧?)してもいたのだが、ずいぶんと安定感のある作品になっていた。もちろんブラックな笑いもあり、そのあたりは期待を裏切らない。また各役者の科白の口跡がいいので、とても気持ちがいい。
一番気に入ったのは、早撃ちマック−品川徹が仁義をきるシーンでツッコミを入れる川口力哉。こゝのテンポはちょっと突出している。また、画面造形、或いは繋ぎの良さも随所にあり、例えばオープニングの藤竜也と勝村政信とのやりとりだとか、前半の藤竜也、近藤正臣、中尾彬の3人で年賀状を繰りながら昔話をするシーンのカットバック(リバースショット)なんかは実に安定した画作りだ。見ていてとても快いのだ。或いは、下條アトムが道で殴られ転がされて、下からの仰角の目線で藤竜也らを見るカット繋ぎなんかはカッコいいが、他にも良い意味で「ひっかかり」のある繋ぎがちらほらありキャッチする。例えば中尾の孫娘、清水富美加が登場するカットの繋ぎ。画面外で彼女とは全く関係のない科白が交わされているときに、唐突にバストショットが入って来て少々違和感があるのだが、観客にハッとさせた上に、彼女がプロットを転がすことを予感させる、といった意味を持つショットになっていると思う。(ただし彼女の存在は、中途半端に放棄される。)
逆に、繋ぎというか見せ方の順番でイマイチな、甘い処理も散見される。例えば、街宣車のペイント(テーピング)のオチ。或いは競馬場でのジェスチャーの顛末。このあたりは理屈を先に説明し過ぎていて面白さを損なっている。あと、ラストのラストで京浜連合側の川口力哉にしてもボスの安田顕にしてもキャラが崩壊してしまうのが惜しい。
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