[コメント] 五本の指(1952/米)
なんと面白い!本作も絶好調のジョセフ・L・マンキーウィッツだ。アンカラ。晩餐会。ドイツ大使パーペンがダニエル・ダリューに話しかける場面から始まる。こゝの緩やかなカメラの前進移動で、既にうっとりする。また、このシーケンスの英国大使との入れ替わりの様子にクスリとさせられる。
ジェームズ・メイソン登場後の夜のモスクや、カスバのような街の造型もいい。アパートの上階にいるダリューにメイソンが会いに行くシーン。ダリューがメイソンをいきなりビンタし、さらに二人の関係性が複雑になる(主従関係が錯綜する)演出なんて惚れ惚れする。
脇役も皆いいが、ベルリンのシーンで登場し、メイソンのカウンターパートとなるハーバート・バーゴフ(リヒター大佐)の脆弱な威厳の表現が絶妙。
大使館の金庫の防犯ベルと、掃除婦のふるまいを絡めたスリルの演出も見事というしかなく、エピローグ、ラストカットの突き放し、メイソンの俯瞰カットも最高だ。
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