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[コメント] 10 クローバーフィールド・レーン(2016/米)

サイコ』で始まり『』で終わるという趣きの、なかなか良く出来たサスペンス。登場人物が、ほゞ3人というミニマルな設定だが、閉塞感とその反動、エピローグの法螺話的スペクタクルが効果を上げる。
ゑぎ

 或いは、前半提示された小道具等も伏線として上手く使われる。例えば、バスルームのカーテンは一目見たら忘れられない奇矯なデザインだが、後半になって別のかたちで使われる部分だとか。そもそも、冒頭、ヒロインのメアリー・エリザベス・ウィンステッドが、旅に出る前のシーンで、部屋のトルソー(洋裁用ボディ)を見せておいたり、自動車に酒のビンを持ち込んだりしたことも、中盤以降、伏線として鮮やかに機能させている。それに旅に出た後、夜のハイウェイで、いきなり後方からの衝撃を受ける演出、このカット割りはとても驚かされていい。

 相手がジョン・グッドマンなので、彼のキャラクターではもとより仕方がない(期待できない)かもしれないが、ジョン・ギャラガー・Jrも含めて、ウィンステッドを、全然性的な対象としないのはいかがなものか。もう少し、仄めかしが欲しい。エンディング近くのグッドマンの振る舞いも、彼女を性の対象として見ているようには思えないのだ。

《以下、ネタバレ注意!》

 ギャラガーは避難する前に、爆弾?の光を見たと言うのだが、彼は全般に頼りないキャラクターなので、発言の信ぴょう性が薄いのだ。或いは、ウィンステッドがグッドマンの持つ鍵を奪い、地上へ出るドアへ到達した際に顔のただれた女が出現する。これも、あまりにタイミングが良すぎて、グッドマンが仕組んだ芝居かも知れないとも思え、ディストピアの世界の真偽が判断つかないのだ。という訳で、やはり、ラストまで半信半疑が続くようにできている。

 あと、グッドマンが一人で『プリティ・イン・ピンク』を見るシーンがある。この映画はモリー・リングウォルドがプロム用のドレスを自製するお話なのだから、グッドマンではなく、ウィンステッドが見る方が良かったのではないか。彼女が防御服の自製を思いつく、という展開に繋げることができるのに。(というような、理に落ちた感想を持たざるを得ないのが、我ながらイヤ)

(評価:★3)

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