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[コメント] お嬢さん(2016/韓国)

三部構成の映画だが、矢張り、謎を広げる(或いは伏線を張りめぐらせる)第一部が最も魅力的だ。だが、決して尻すぼみ、という訳でなく、二部三部も、あっと驚かせてくれる。本作も屋敷(家屋)が主役、と云ってよい映画なので、全体に窓とドアの映画になっている。
ゑぎ

 窓を隔てた切り返しも多い。さらに第一部では、この家屋のその他の装置としての魅力も広がるのだ。海と崖が見える未舗装の道路の超ロング(この画はCG臭い)。門から屋敷へ続く木立の中の道、その真俯瞰。らせん階段と壁の肖像画。女中部屋とお嬢さんの部屋の空間描写。広い庭。書庫と朗読場の入口の前の蛇。箪笥と抽斗、沢山の手袋などなど。

 そして第一部の白眉は、浴槽のシーンだろう。お嬢さんの頬の内側を指にはめたヤスリですりすりする。この描写の執拗さ!(私はあと2倍ぐらい長くてもいいと思ったが)。第一部における、惹かれあう二人の恋慕と嫉妬の演出がたまらない。やはり、本作は、この魅力に尽きるだろう。

 第二部以降は、第一部の繰り返し(と種明かし)が多くなり、ちょっとくどい、と思う部分も出てくるが、それでも、人物の関係や思惑の種明かしだけでなく、屋敷の装置としての新たな側面も描かれて、面白さが増幅する部分も多い。書庫と朗読場で何が行われているのか。或いは地下室の正体等。

#韓国タイトルも、邦題と同じで「The Lady」という意味とのことだが、英語のタイトルは『THE HANDMAIDEN』なのだ。日韓と英米のタイトル、タイトルロールが逆になっている。

(評価:★4)

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