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[コメント] 歌行燈(1943/日)

なんと力強い画だ。また、音の使い方の見事さ。人物のキャラクタリゼーションの納得性。「死んでもひとの玩具になるな」参りました。
ゑぎ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 物語は非常にご都合主義的で、特に角付けの相棒・柳永二郎山田五十鈴のことにやけに詳しいことが判るシーンなんかとてもわざとらしい感じがするのだが、そのすぐ後に挿入されるフラッシュ・バックの馬車と海岸のシーンが見事なので帳消しになる。全体的に言っても、ご都合主義的なストーリなどどうでもよくなる画の強さだ。中でも松原での7日間の舞の特訓のシーンが撮影の白眉だろう。

 印象的な音の使い方を上げるとすると、最初の素人謡い(あんま)を殺してしまうことになる、合いの手の膝をたたく音や、ラスト近くの桑名の飲み屋でどこから聞こえてくるのか判らない、あんまの吹く笛の音、そして、同じ飲み屋からラストへ続く鼓の響き。

 「死んでもひとの玩具になるな」という台詞も凄いね。初対面の女性に言ってしまう。数年後再会した時、「ひとの玩具にはなりませんでした」と言ってしまうのもさらに凄い。

(評価:★5)

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