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[コメント] ローサは密告された(2016/フィリピン)

これがフィリピンの現実かどうか、なんて我々には分からないし、そもそも、そんなことは映画とは関係ないことではないかと私は思っていて、では、映画として、こゝで提示されているコンテンツが衝撃的かというと、私には中程度の出来としか思えない。
ゑぎ

 まともなカットにできない撮影は、それはそういう戦略だとして非難にはあたらないとしよう、しかし、演じられている事柄についても、かつて数多の犯罪映画が描いて来た情況を超えるものを定着させているとは思えない。背景にうつし取られた文化や生活習慣は、現実を伝えているのかもしれないし、それは確かに興味深く見させてもらったが、しかし、映画にとっての価値とは思わない。

 映画の話から離れてしまうが、あえて云えば、現実は、もっと酷い、ということはありませんか、と云いたい。シェイキーでピントをまともに合わせない撮影によって、いかにも現実らしい画面を誂えたことで、権力者の悪業を、この程度のレベルに抑えて見せている、これが現実だと思わせる情報操作に、結果的になっているかも知れない、と思ってしまう。こゝまで云うのは云い過ぎかも知れませんが、本当のフィリピンの現実は、売人は暴行されるにとどまらず殺害され、ローサの長女は(いや次男かも)、官憲によってレイプされる、ぐらいではないのか、という懸念。

 さて、中盤、警察署の麻薬係の取調室が主な舞台となるが、この部屋から出ていく人物を何度もカメラは追いかける。部屋を出て廊下を抜け、建物の周囲を回り、正面玄関に出る動線の反復。これがしつこい。ローサ達が軟禁されている、この取調室の特異性、閉鎖性の強調表現なのだろうが、大した効果に繋がっているとは思えない。このあたりスッキリさせて100分を切る尺にすべきだろう。

(評価:★3)

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