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[コメント] ベイビー・ドライバー(2017/米)

エンディングは犯罪映画として、ちょっとこんなことでいいのか?と考えてしまうのだが、いや、中盤から終盤にかけて、もう『トゥルー・ロマンス』の域に近づくかと思った。
ゑぎ

 ちまたではカー・チェイス・ミュージカルなんて呼ばれ方もしているようで、まるで振付師が設計したようなチェイスシーンの連続だ。確かに、そこが一番の見どころではるが、銃撃戦シーンもなかなか良く、特に『ヒート』の銀行強盗シークエンスを意識したとしか思えない、郵便局襲撃からの流れがいい。バディ−ジョン・ハムとダーリン−エイザ・ゴンザレスが並んで立ってマシンガンを撃ちまくるカットのカッコいいこと!

 また。主要なキャラクターは皆ていねいに描かれており、ケヴィン・スペイシージェイミー・フォックスという2人のビッグネームも流石に強烈な印象を残す。ただ、フォックスは、登場から自分で云うほど、イカれていない。かなりスマート。理知的に見える。例えば、警官だから撃った、というように、理屈を通している。ジョン・ハムの行動もそうで、最後までベイビー−アンセル・エルゴートを追ってくるのは、あくまでも復讐、という理由が意識される。そう考えると、映画全体を通じて、理屈を大事にし過ぎかもしれない。だから、狂気的な地点まで到達していない、のかも知れない。そういう意味では、デボラ−リリー・ジェームズの行動が一番理屈が無いので、感動する。そこが、『トゥルー・ロマンス』の域、という意味でもある。

 あと、音に対する繊細な演出も指摘すべきでしょう。ベイビーは、耳鳴りがするので、いつも音楽を聴いているという設定。デフ(聾者)の里親ジョー爺さんと暮らしており、アメリカ手話と、その字幕という画面が結構ある(このような画面自体が珍しいが)。なので、無音や、音を隠す、という演出の面白さが沢山ある。例えば、ジョー爺さんが、スピーカーの振動で音楽のリズムを感じ取っている、という描写が前半にあり、エンディング近く、至近距離での発砲により、一時的に音が聞こえなくなったベイビーが、カーステレオのスピーカーに手をあて、その振動により音を感じ取る、といった部分に感動する。

(評価:★4)

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