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[コメント] 南瓜とマヨネーズ(2017/日)

なかなかの佳編。オープニングから、研ぎ澄まされた音の映画なのだ。これはフラッシュ・フォワードというべきか。フロアの業務用掃除機、スクール水着と排水口、ドラム、ギター、ビニールのゴミ袋を結ぶ音など、後のプロットで出てくる印象的な音(と画面)がオープニングでモンタージュされる。
ゑぎ

 主人公の臼田あさ美太賀も問題のあるキャラクターだが、臼田のいい加減さも、太賀の頑迷さも何とも憎めない造型なのだ。特に、臼田のズルズルの部分を嫌味なく簡潔に描く演出が快い。あるいは、太賀とバンド仲間達との絶妙に緊張感を維持する関係性の演出もだ。

 さて、本作もカメラは殆どのシーンで動き続けている。日本映画の流行りは、動き続けるカメラなのか。キスシーンで、早送りみたいなモーション・コントロールを使った凝った見せ方もある。

 ただし、後半のフラッシュ・バックの部分は矢張りイマイチで、二人の出会いの場面、ライブ会場でマイクのセッティングが上手くいかない様子だとか。キッチンでのいちゃつきだとかも、とってつけたように感じてしまう。テンションを下げる回想はやめて欲しい。しかし、続くエンディングはとても爽やかなので、下手なフラッシュバックも帳消しにした感はある。特にエピローグで臼田が泣き始めるタイミングには感動する。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)ナム太郎[*] tredair[*] けにろん[*]

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