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[コメント] 喜劇 大安旅行(1968/日)

瀬川昌治の松竹「旅行シリーズ」第1作は大阪は天王寺の駅前の俯瞰から始まる。
ゑぎ

 新婚さん達がタクシーで乗り付ける。中に左とん平園佳也子がいる。或いは晴乃チック・タックもいる。タック−後の高松しげおはよく目立つ。天津甘栗ばかり食う男。フランキー堺は国鉄の専務車掌だ。社内には乗務員で生田悦子。フランキーの父親役が機関士の伴淳三郎で、生田の旦那は伴淳の助手、世志凡太。フランキーの叔父さんで白浜で旅館をやっているのは藤原釜足。新宮駅前の寿司屋の娘、ヒロイン雪子に新珠三千代。その母親は笠置シヅ子。フランキーの幼馴染の役で倍賞千恵子、という本作もダブルヒロインだ

 全編通じてフランキーは勿論よく動くが、しかし伴淳が圧倒的に笑いを牽引する。またその活躍はコメディシーンだけでなく、例えば本作の最も感動的なシーンは機関車が坂を上がるシーンだと思うのだが、このシーンの伴淳の表情が本当に感動的なのだ。また、高羽哲夫のドキュメンタリータッチの撮影も冴える。或いはフランキーがわけあって自分の乗るべき列車に欠乗した後の伴淳の激昂ぶりにも私は涙をおさえ切れなかった。

 また次作『喜劇 婚前旅行』と同じで本作でも倍賞はフランキーに惚れて猛アタックする役。しかしフランキーは新珠三千代に気がある、という設定だ。確かに新珠三千代も綺麗だが、倍賞の扱いは矢張り現在の感覚から見て違和感がある。こんなに可愛いのにフランキーが倍賞を選ばないことが納得できない。納得性を出すには倍賞をもっと蓮っ葉に描く必要があるか。

 あと、笠置シヅ子は次作のミヤコ蝶々を彷彿とさせる役回りだが、この人はこの人でしっかり笑いを取る。こういう大ベテランにきちんと見せ場がある、というのも演出の良さの一つだと思う。

#ワンシーンだけの脇役で書き留めておきたい人がまだまだいる。

・フランキーが藤原釜足に連れて行かれた病院の医者が牧伸二。痔の医者。

・フランキーが天王寺で欠乗してしまう原因になるのが吉川くん!の早瀬久美。17歳。可愛い。次作以降は森田健作がレギュラーになるのだから偶然とは言え面白い。これが「おれは男だ!」(1971)の3年ぐらい前のお話なのだ。

・早瀬久美をかどわかすチンピラで佐藤蛾次郎。この蛾次郎は『吹けば飛ぶよな男だが』の冒頭の役回りとそっくりではないか。

・欠乗後、フランキーを叱責する上司は穂積隆信

・ストリッパー役の一人は若貴のお母さん藤田憲子(紀子)らしい。(見終わった後、調べていて判明。もっとちゃんと見ときゃ良かった。)

・乗客で財津一郎もワンシーン登場。「きびしーい!」

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)水那岐[*]

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