[コメント] 心と体と(2017/ハンガリー)
非常に細部を丁寧に見せる。それがスペクタクル。神は細部に宿る。映画の神=スペクタクルなので、スペクタクルもまた、細部に宿るのだ。牡鹿と女鹿。森と池。緩やかな時間の流れ。静謐な画面が美しい。
あるいは、例えば、サンダルを脱ぐと、サンダルの形状がゆっくりと変化する、といった部分。あるいは、息遣いの描写。エンドレの麻痺した左手に添えられるマーリアの右手。
マーリアがサヴァン症候群的な驚異の記憶力の持ち主であることも、細部への執心に繋がる志向か。驚異の記憶力が彼女の特異な個性に機能するだけで、プロット展開に機能しないのも良いと思う。ひいては、異床同夢に関する理屈の説明が一切ない、という美点に結びついている。しかし、二人の夢が同じ、ということが判明する際の見せ方は、登場人物にとっても、観客にとっても驚きのある、つまり、主人公達と驚きを共有できる上手い見せ方だ。このあたりのスリリングさが非常に良く出来ている。
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