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[コメント] 犬ヶ島(2018/米)

墜落する一人乗り機、ゴンドラ、カゴ等の宙吊りのモチーフ。これらを含めて極めてアナログ的な、面倒臭そうな仕組みが尊重される世界観が面白い。あるいは、犬もアタリも、いちいち目に涙を溜める描写が強調され挿入される細部も、人間臭い、心の通ったキャラクタリゼーションを印象付ける。
ゑぎ

 ケンカ、乱闘の表現が白い土ぼこりの反復で簡潔に描かれる演出はどうだろう。リアルに描き込むのは難しいことは分かるのだが、こゝだけ漫画的過ぎて違和感はある。

 複数構成員による活劇であるという点とテーマ曲の流用という部分で、どうしても『七人の侍』へのオマージュを思ってしまうし、全編に亘る、正面から正面への切り返しは小津を想起させる。「竜来軒」の看板も小津っぽい。ただし、正面カットは小津以上に正面、というか真正面であり、ローアングルと人物の視線の危うさでハードボイルド性を獲得する小津の画面の特質とは似て非なるものだ。小津のローアングル+正面ショットの切り返しは、いつまでも、何度見ても、キャッチーで慣れることが難しいのだが、本作の正面カットの連続は、これが案外慣れてしまうし、違和感を覚えなくなる。という意味でも、小津へのオマージュというよりは、あくまでもウェス・アンダーソンがやりたいことをやった画面と云うべきだろう。『ファンタスティック Mr.FOX』の延長線上なのだ。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)DSCH[*] けにろん[*]

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