[コメント] カメラを止めるな!(2017/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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もしかしたら、前半のワンカット映画撮影時における予期せぬアクシデントを、後半の撮影現場の中で、展開の変更や伏線回収として臨機応変に対応しているのかも知れないが、そうだとしても、完成した映画を見る限り、シナリオ段階でデザインした理屈の回収に終始する映画だという印象は免れない。
例えば、前半の映画の中で、血糊がカメラのレンズに付着し、カメラマンが布で拭く、という部分があるが、私は見ながら、アルフォンソ・キュアロンの『トゥモロー・ワールド』の「批評」になっていると思い、この部分は異様に昂奮した。(『トゥモロー・ワールド』では、血糊はコンピュータ処理で消されたと思われる)。さらに、この部分も、後半になって伏線として回収されるのだろうと思ってワクワクしていたのだが、結局、後半でこの部分は再現されなかったのだ。この例だけで云うと、前半の撮影現場のアクシデントが、後半で活かされている、と云うことはできないのである。
さて、そもそも中盤以降の、プロットが1カ月前に溯ってからは、画面が安手のテレビドラマかバラエティ番組の再現ドラマ映像レベルのクオリティになる。低予算でも、もっともっと充実した画面の映画は数多ある。私が見たいのは、このようなレベルの画面ではない。
ただし、登場人物のキャラクタリゼーションと見せ場のバランスは見事だ。中でも、母親(監督の妻)の非現実なキャラの増長ぶりがいい。このような、ぶっ飛んだ造型がもっとあれば、さらに良かったと思う。
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