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[コメント] へレディタリー 継承(2018/米)

開巻は窓から外の風景。ドリーで引いた後、パンニングし、ミニチュアハウスへ寄っていく。そこに、犬と人−お父さん・ガブリエル・バーンが入ってくる、という愉快な出だしだ。
ゑぎ

 実は中盤、数々のミニチュアが壊されると、がっかりする。実物とミニチュア模型との、どちらか分からない繋ぎが面白かったのに。もっとミニチュア自体の不気味さで怖がらせても良かったんじゃないか。

 バーンとトニ・コレットの夫婦には、子供が二人いて、最初、娘チャーリーが本作の主役かと思ったが(それぐらいインパクトのある娘なのだ)、前半で退場する。再登場もあるかと思っていたのだが、無し。ただし、この娘の舌鼓(この場合は「ぜっこ」と読む)が、その後も絶妙に演出されている。勿論、コレットが主役の映画なのですが、プロットに沿って云えば、最終的には、長男のピーターが、主役と云うべきだろう。

 交霊を施すオバサンのジョーン(ジョニー)については、この人の存在が、単なる交霊のやり方を教える人、ぐらいの扱いの方が良かったんじゃないだろうか。役割を付与することで、映画の理屈っぽさを強めることになってしまっている。理屈のない恐怖の方が、より怖い、というのが私の感覚です。そういう意味では、コレットに夢遊病の癖がある、というクダリなんかも理屈の担保になってしまっている。コレットの最後の場面の演出は、おかしな動きで笑わせてくれますが。そして結局、死者が幽霊として出てこないという点が、徹底しているのは、いいと思う。

 あと、全般にメロウな昼間撮影と漆黒の夜の対比がよく効いている。離れにある高床の小屋と、その中のヒーターの赤い照明も綺麗。色彩のセンスも面白い。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)DSCH[*] ジョンケイ[*] irodori disjunctive[*]

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