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[コメント] グリーンブック(2018/米)

いかにもアカデミー脚本賞受賞作に相応しい、映画としてのダラシナサが滲み出た映画だ。まず、本作は典型的なロードムービーだが、自動車の扱いがダラシナイ。
ゑぎ

 車を絡めたカットは全体にカメラポジションがよろしくなく、特に車中のカットは、助手席(右前部席)から撮ったカットばかりで、運転席にいるヴィゴ・モーテンセンは、やゝ仰角気味で寄り過ぎの、同じカメラポジションのカットばかりなのだ。いや、そもそも、このターコイズブルーのキャデラックを魅力的に撮ったカットってあっただろうか。

 また、ヴィゴ・モーテンセンの役柄は、最初、殆どヤクザ者かつレイシストと思わせるのだが(「コパカバーナ」での暴力行為と、キッチンでグラスを捨てるクダリ)、その実、マハーシャラ・アリとの関係は、その出会いから「いい人」過ぎる。私は、モーテンセンと、その妻リンダ・カーデリーニとの手紙のやりとりや、ゆるーい家庭描写のクロスカッティングが、「これがないとダメか?」と思いながら見た。ま、多くの観客はこの「いい人」感が好ましいのでしょうが。他にも、モーテンセンを「いい人」キャラとして強調する印象的な場面として、地元の仲間に偶然会い、もっといい仕事を紹介する、みたいな話になった後に、マハーシャラ・アリが謝罪する場面がある。こゝが、アリが階段上におり、モーテンセンが階段途中にいる、つまりアリが見下げながら謝罪し、それにモーテンセンが受ける、という見せ方だ。実はこれは絶妙な高低の演出だと思ったが、しかし、モーテンセンが、アリとの仕事の継続を選択した納得性のある演出がない、というのもダラシナイんじゃないか。

<ネタバレ注意>

 プロットの話を続けることになるけれど、本作には、登場人物間で、知らないと思わせていた隠し事のバラシのネタがいくつかある。

(1)拳銃は持っていないと云っていたが、本当は持っていた。

(2)緑の石を元の売り場(ワゴン)に戻すフリをしたが戻さなかった。

(3)手紙の文章が夫の文章でない、と分かっていた。

 (1)は観客もダマす演出。(2)は観客にはネタを見せる演出だが、(2)の見せる、見せないの演出は中途半端でしょう。あと、(3)の帰結を作品全体のオチに持って来くるのは、ちょっと作劇臭過ぎる、というのが私の感覚だ。

 さて、本作はクリスマスの映画、という側面もあって、クリスマス映画好きの私としては、雪の場面も結構本気で撮ってくれていて、ちょっと嬉しい画面ではある。しかし、相変わらずクリスマスはシナトラとナット・キング・コール、というのは、ちょっとありきたりじゃないでしょうか。

(評価:★3)

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