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[コメント] ビール・ストリートの恋人たち(2018/米)

葉が黄色く紅葉した木の枝。その下の公園の道を二人(ティッシュとファニー)が歩いて来る俯瞰。まずこのファーストカットで心つかまれる。黄色と青の衣装。この後、ずっと特徴的に使われる色遣いだ。
ゑぎ

 特に全編黄色が氾濫する。ティッシュの上着やカーディガン、ファニーのシャツ。ファニーの母親も黄色のスーツで登場する。やゝ節操がない、とも思えてくるぐらいだ(多分、記号的な意味合いはないと思われる)。全体、みんな衣装がお洒落過ぎて、ファンタジーに過ぎる、と感じられないだろうか(非現実的過ぎて反感を買うというようなことがないのだろうか)、といぶかってしまう。しかしだからこそ、映画的だ、とも思う。

 あるいは、淡い色調は家屋の内装なんかでも効果を発揮する。例えば、ティッシュの家の壁に、くっつけたテーブルがカフェのそれようなのだ。淡いリーフ柄の壁紙。壁面設置の小さなランプ。電球色の光。なんて可愛いのだろう。

 また、本作の画面作りで最も胸を打たれたのは、矢張り、面会シーンでの、アクリル板(接見室の仕切りの透明板)の主観ショットだ(これは言葉のアヤ)。つまり、アクリル板の位置にカメラを置いて、正面バストショットで切り返してる。面会場面は何度もあるが、アクリル板が画面に映り、それを意識させるカットは、ほんの少しだけしかない。「二人を仕切るもの」を意識させない演出の選択なのだ。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)3819695[*] 水那岐[*]

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