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[コメント] ザ・スパイダースの大進撃(1968/日)

いやあ冒頭数カットには興奮した。日活のロゴのKマークが宝石にディゾルブする。宝石がタンバリンの側面に組み込まれる。すると宝石が今度は夕陽にディゾルブ。そして次のカットが空を飛ぶ旅客機。というこの一連のカッティングは凄い映画的!全体にいい加減な映画だが、矢張り中平康の演出はいい。
ゑぎ

 タンバリンを狙う真理アンヌ草薙幸二郎チームとアタッシュケースを狙う植村謙二郎らが交錯する展開も上手くさばかれているが、そんなことよりも常軌を逸したナンセンスな(そしてある種アナーキーな)演出がいいのだ。唐突にラグビー場、建設中の高速道路の末端、ビルの屋上(オリエント時計)、国会議事堂のてっぺんで歌うシーンをつなげる部分。養豚場に車で突っ込むシーンと豚の扱い。田舎道をバスで移動中になぜかストップモーションとなり小鳥の声だけが聞こえる処理。といった、こういう意味不明の処理が悪くないのだ。また、クライマックスへ至る、車で敵をおびき寄せるシーン。堺正章井上順の組とかまやつひろし田辺昭知の組に分かれて2台のオープンカーを走らせるのだが、走るオープンカーを並走する車から撮ったのであろう俯瞰気味のカットがすこぶる格好いい。こゝは特筆すべきだ。

 メンバーの中では矢張り堺がダントツによく動く。目立つ順番でいうと、堺、井上、かまやつ、田辺ということになる。大野克夫井上堯之加藤充は目立たないが決して存在感ないわけではない。また和泉雅子はよく笑い、リアクションも良くとてもかわいい。

#コンサート会場にいるお婆さん役で堺駿二が登場。「赤いおべべ着て、まあ親の顔をみたいよ」と言う。堺正章も「あの婆さん、おふくろかな」(真理アンヌの)と云って井上と笑う。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ぽんしゅう[*]

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