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[コメント] ハウス・ジャック・ビルト(2018/デンマーク=仏=独=スウェーデン)

手持ちのブレ映像と激しいパンニングに気分が悪くなる。多分、むごい暴力描写に気分が悪くなったのではない、と思うのだが、実のところ、判然としない。
ゑぎ

 赤い色のサイン−バン(車)、ジャッキ、キャップ(野球帽)、玩具の電話とそのコード、赤いサインペン、ローブ(法服)。これらはあからさまな使いようで、あざといとも思う。

 5つのインシデントで構成される。1番目はユマ・サーマンマット・ディロン以上に、彼女の傍若無人ぶりが面白い。2番目の強迫観念症の描き方。血が残っているイメージが浮かび、何度も家の中に戻る部分は、ちょっとやり過ぎ。しかし、警官とのやりとりのサスペンスをブッチ切って、さらに酷いアイロニーにたどり着くのには呆れてしまう。3番目が一番むごいシーケンスかも知れない。真俯瞰で、沢山のカラスと母子の遺体を見せるカット。よくやる。4番目はライリー・キーオ。胸を切り取るイメージ。これが、もっと怖い演出かと思っていたが、大したことない。切り取った胸の措置もしょうもない。5番目は、かつてナチスが試そうとしていたという「一発の銃弾で何人殺せるか」という実験の再現。フルメタルジャケットへのこだわり。こゝで、ブルーノ・ガンツが登場する。彼がまた天使(死に神?)をやっている、と思ってしまう。しかし、彼の登場で、なぜかホッとする。ヴァージという名は、実はウェルギリウスのことらしい。天使ではなく、ダンテ「神曲」の中の案内人とのこと。タイトルにある、「ジャックが建てた家」もこゝで収束する。この家は地獄へ通じる道なのだ。ドラクロワによる「ダンテの小舟」の再現もジョーク。最後まで気分は悪かったが、こゝまでやると、爽快感もある。

#クレジットの最後に「本編中、動物を傷つけていない」旨の字幕が出る。水鳥の子供のカットは特殊効果だったのか。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)おーい粗茶[*] 3819695[*] ペペロンチーノ[*]

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