[コメント] アルキメデスの大戦(2019/日)
戦艦建造費の見積額の誤謬を証明する、というなんとも気が滅入るような、みみっちい、貧素な、こじんまりとしたお話を、よくこゝまで娯楽作として盛り上げたと思うが、その分、主人公・菅田将暉をはじめとして、舘ひろし、國村隼、橋爪功、小林克也ら軍人達は、戯画化され過ぎているきらいがある。
また、浜辺美波をこのような凡庸なキャラクターとして造型してしまうのも許し難い。ただし、菅田と柄本佑の関係等は上手く描かれているし、結局、役者では独り勝ちの様相を呈する田中泯が、相変わらず見事なのだ。
VFXに関しては、まだまだ技術的突破を望む。冒頭の撃沈シーンは、アクションに紛れて粗さが目立たない部分もあるし、粗さが目立ったとしても、模型では成し得なかったデザインの実装だと思うのだが、ラストの、菅田が涙しながら見送る、建造された艦のカットになると、私には、『ベン・ハー』(1959)の海戦シーンと同等レベルに見える(ちょっと云い過ぎているけど、模型と余り変わらないってこと)。『クレオパトラ』(1963)の本物感には、まだまだ及ばないと思えるのだ。
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